〔解答〕新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’ 06-51 まとめ(その2)
 

おかげさまで第51号を発行することができました。内容はいかがだったでしょうか。ぜひ、ご意見や感想等をe-mail@ohta-shoshi.comまでお寄せください。
 

 目次

■■■ 民法
■■■ 行政法
■■■ 国家賠償法
■■■ 情報公開法

 
 
  ■■■ 民法  ■■■

【1】具体的相続分の計算は、相続財産の額から寄与分を控除し、生前贈与を加算したものになるので、1億円−2000万円+1000万円=9000万円。

妻Eの相続割合は二分の一なので、9000万円×1/2=4500万円になる。

子Cは、生前贈与1000万円があるため、9000万円×1/2×1/4−1000万円=125万円。

子Dは、9000万円×1/2×1/4=1125万円。

子Fは、寄与分2000万円があるため、9000万円×1/2×1/4+2000万円=3125万円。

子Gは、遺贈があるため、9000万円×1/2×1/4−1000万円=125万円(ただし、最終的に相続できる額は、125万円+遺贈1000万円の1125万円になる。)。

【2】正しいものは(イ)、(ウ)と(エ)なので、正解は(3)となる。

(ア)被相続人の直系卑属でない者は代襲相続人になることはできないが(887条2項)、養子Cは、被相続人Aの存命中に養子になったのであれば、代襲相続ができる。なお、Bが被相続人Aの養子である場合、その子Dが当該養子縁組前に生まれていた場合には、Dは「被相続人の直系卑属でない者」に該当するので、代襲相続はできない。また、養子縁組後に生まれていた場合には、代襲相続できる。

(イ)胎児は、相続については、既に生まれたものとみなされるが(886条1項)、死体で生まれたときは、適用されないので(同2項)、正しい。

(ウ)代襲相続の規定は、子Bが相続人としての欠格事由に該当した場合および廃除された場合に準用される(887条3項)ので、正しい。

(エ)被相続人の子についてのみ代襲相続は認められ(887条2項)、配偶者の子には認められないので(例えば、配偶者の連れ子)、正しい。

(オ)代襲相続は直系卑属にだけ認められているので、誤りである。なお、直系尊属は相続人にはなることができるが、代襲相続までは認められていない。

【3】穴埋問題

(ア)(1)法人、(2)代理権、(3)利害関係人(57条)

(イ)(4)親権、(5)特別代理人、(6)家庭裁判所(826条)

(ウ)(7)後見監督人(860条)

(エ)(8)被後見人(851条4号)

(オ)(9)臨時保佐人、(10)保佐監督人(876条の2第3項)

 
  ■■■ 行政法 ■■■

■■ 書面主義

■ 行政手続法

(1)聴聞調書(24条)、(2)弁明書(29条)
★ 行政手続法では、聴聞調書と弁明書(のみ)が規定されている。
★ なお、弁明書は、行政手続法と行政不服審査法の両方に登場する(むろん、内容は別のものである。)。

行政手続法

聴聞調書(24条1項)

聴聞の主宰者が、聴聞の審理の経過を記載した調書。主宰者は、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。

弁明書(29条1項)

弁明の機会の付与に際して提出する弁明を記載した書面

■ 行政不服審査法

(ア)審査請求録取書(17条2項)、(イ)反論書(23条、52条2項)、(ウ)決定書(47条、48条、52条1項)、(エ)異議申立録取書(45条、16条、18条3項)、(オ)弁明書(22条、52条2項)
★ 行政不服審査法に規定されている書面は、つぎのとおりである。







不服申立書(9条2項) 行政不服審査法に基づく不服申立てに際して提出する書面
処分についての審査請求 審査請求書(15条) 行政不服審査法に基づく審査請求に際して提出する書面
審査請求録取書(16条、17条2項) 処分庁が、口頭でした審査請求に係る陳述の内容を録取した書面
弁明書(22条) 審査庁が、審査請求を受理したときに、処分庁に対して、相当の期間を定めて、提出を求める書面
反論書(23条) 弁明書の副本の送付を受けたときに、審査請求人が提出することができる書面
裁決書(41条1項) 審査庁の裁決に関する理由を附した書面で、記名押印のあるもの
処分についての異議申立て 異議申立書(45条、18条3項) 行政不服審査法に基づく異議申立てに際して提出する書面
異議申立録取書(48条、16条) 処分庁が、口頭でした異議申立てに係る陳述の内容を録取した書面
決定書(47条、48条) 処分庁の決定に関する理由を附した書面で、記名押印のあるもの
不作為についての不服申立て 不服申立書(49条) 不作為についての異議申立書又は審査請求書
弁明書(22条、52条2項) 審査庁が、審査請求を受理したときに、処分庁に対して、相当の期間を定めて、提出を求める書面
反論書(23条、52条2項) 弁明書の副本の送付を受けたときに、審査請求人が提出することができる書面
裁決書(41条1項、52条2項) 審査庁の裁決に関する理由を附した書面で、記名押印のあるもの
決定書(47条、52条1項) 処分庁の決定に関する理由を附した書面で、記名押印のあるもの

★ 処分についての異議申立ての場合には、当然のことながら(処分庁に対して行なうものであるため)、弁明書と反論書は存在しない。不作為についての異議申立ての場合も、同様である。
★ 処分についての口頭による審査請求や異議申立ての規定(16条、48条)は、不作為についての不服申立てには準用されない(52条1項、2項)。
★ 行政事件訴訟法上では、特定の名称をもった書面は、特に見当たらない。

■■ 義務履行の確保 

■ 行政代執行法

(1)行政代執行法、(2)国税滞納処分、(3)国庫(6条1項,3項)
★ 代執行の要件は、つぎのとおりである(行政代執行法2条)

代執行の成立要件 1.代替的作為義務の不履行 
2.他の手段によることが困難 
3.不履行に著しい反公益性

■ 金銭の強制徴収

(1)督促(国税通則法37条1項)、(2)差押え(国税徴収法47条以下)、(3)10(国税徴収法47条2項)、(4)公売、(5)入札(国税徴収法94条1項、2項)

■ 執行罰 

(1)過料、(2)過料

■ 即時執行

(1)直接強制

■ 行政罰

(1)死刑、(2)懲役、(3)罰金、(4)科料、(5)過料、(6)刑事訴訟法、(6)刑法総則
★ これらを取りまとめると、つぎのようになる。

行政上の義務履行 代執行 行政代執行法
金銭の強制徴収 国税通則法、国税徴収法等
直接強制 成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法
執行罰 砂防法
氏名等の公表 食品衛生法等
課徴金 独占禁止法等
類似の制度 即時執行 入管法、食品衛生法、消防法等
行政罰 行政刑罰(刑法)、過料(秩序罰)、過料(地方自治法)

■■ 教示

■ 行政手続法

行政手続法 聴聞の通知の方式(第15条) 行政庁が聴聞を行うに当たって不利益処分の名あて人となるべき者に送付する書面には、次に掲げる事項を教示しなければならない(第2項)。
一  聴聞の期日に出頭して意見を述べ、証拠書類等を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること。
二  聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。

■ 行政不服審査法

行政不服審査法 審査庁等の教示(第57条) 行政庁は、審査請求若しくは異議申立て又は他の法令に基づく不服申立てをすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない(第1項)。
行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない(第2項)。
教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない(第3項)。
地方公共団体その他の公共団体に対する処分で、当該公共団体がその固有の資格において処分の相手方となるものについては、適用しない(第4項)。
教示をしなかつた場合の不服申立て(第58条) 行政庁が必要な教示をしなかつたときは、当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる(第1項)。
誤つた教示をした場合の救済(第18条) 審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合で、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、すみやかに、審査請求書の正本及び副本を処分庁又は審査庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない(第1項)。
審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤つて異議申立てをすることができる旨を教示した場合で、当該処分庁に異議申立てがされたときは、処分庁は、すみやかに、異議申立書又は異議申立録取書を審査庁に送付し、かつ、その旨を異議申立人に通知しなければならない(第3項)。
審査請求書の正本又は異議申立書若しくは異議申立録取書が審査庁に送付されたときは、はじめから審査庁に審査請求がされたものとみなす(第4項)。
誤つた教示をした場合の救済(第19条) 処分庁が誤つて法定の期間よりも長い期間を審査請求期間として教示した場合で、その教示された期間内に審査請求がされたときは、当該審査請求は、法定の審査請求期間内にされたものとみなす。
異議申立ての前置の例外(第20条) 処分庁が、当該処分につき異議申立てをすることができる旨を教示しなかつたときは、当該処分につき異議申立てについての決定を経ていない場合でも、審査請求をすることができる。
処分についての異議申立て(第48条、第19条) 「審査請求」をすることもできる処分に係る異議申立てについて、処分庁が誤つて法定の期間よりも長い期間を審査請求期間として教示した場合で、その教示された期間内に審査請求がされたときは、当該審査請求は、法定の審査請求期間内にされたものとみなす。
裁決(第41条) 審査庁は、「再審査請求」をすることができる裁決をする場合には、裁決書に、(ア)再審査請求をすることができる旨、(イ)再審査庁、(ウ)再審査請求期間を記載して、これを教示しなければならない(第2項)。
決定(第47条) 処分庁は、「審査請求」をすることもできる処分に係る異議申立てについて決定をする場合には、決定書に、(ア)当該処分につき審査請求をすることができる旨、(イ)審査庁、(ウ)審査請求期間を記載して、これを教示しなければならない(第5項)。

■■ 択一問題

【1】正しいのは(ウ)だけであるので、正解は(2)となる。

(ア)最高裁判例「教育施設負担金返還」(民集第47巻2号574頁)

【裁判要旨】市がマンションを建築しようとする事業主に対して指導要綱に基づき教育施設負担金の寄付を求めた場合において、右指導要綱が、これに従わない事業主には水道の給水を拒否するなどの制裁措置を背景として義務を課することを内容とするものであつて、右行為が行われた当時、これに従うことのできない事業主は事実上建築等を断念せざるを得なくなつており、現に指導要綱に従わない事業主が建築したマンションについて水道の給水等を拒否していたなど判示の事実関係の下においては、右行為は、行政指導の限度を超え、違法な公権力の行使に当たる。

(イ)「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(裁決、決定その他の行為を除く。)の取消しを求める訴訟をいうが(行政事件訴訟法3条2項)、これについてはつぎの最高裁判例がある。

●● 最高裁判例「ごみ焼場設置条例無効確認等請求」(民集第18巻8号1809頁)

【理由】行政事件訴訟特例法(現行政事件訴訟法)にいう行政庁の処分とは、所論のごとく行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によつて、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものである。

★ したがって、行政指導も取消訴訟の対象になり得る

(ウ)地方公共団体の機関がする行政指導については、行政手続法は適用されない(3条3項)。

行政手続法
行政手続条例・規則
区分
処分(申請に対する処分、不利益処分) 法律に根拠がある場合、国の機関であっても、地方公共団体の機関であっても、行政手続法が適用される。 条例・規則に根拠がある場合、地方公共団体の機関には、行政手続法は適用されない。 根拠による区分
行政指導 国の行政機関が行う場合、行政手続法が適用される。 地方公共団体の機関が行う場合、行政手続法は適用されない。 組織による区分

(エ)行政指導とは、「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう」(行政手続法2条6号)。

 
  ■■■ 国家賠償法  ■■■

正しいのは(ア)と(オ)であるので、正解は(2)となる。

(ア)最高裁判例「損害賠償」(民集第36巻4号519頁)

【裁判要旨】国又は公共団体に属する一人又は数人の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに故意又は過失による違濫行為があつたのでなければ右の被害が生ずることはなかつたであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよ、これによる被害につき専ら国又は当該公共団体が国家賠償法上又は民法上賠償責任を負うべき関係が存在するときは、国又は当該公共団体は、加害行為の不特定の故をもつて右損害賠償責任を免れることはできない。

(イ)最高裁判例「損害賠償」(民集第36巻3号329頁)

【裁判要旨】裁判官がした争訟の裁判につき国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があつたものとして国の損害賠償責任が肯定されるためには、右裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によつて是正されるべき瑕疵が存在するだけでは足りず、当該裁判官が違法又は不当な目的をもつて裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とする。

(ウ)最高裁判例「損害賠償請求」(民集第10巻11号1502頁)

【裁判要旨】巡査が、もつぱら自己の利をはかる目的で、制服着用の上、警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で同人を射殺したときは、国家賠償法第一条にいう、公務員がその職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合にあたるものと解すべきである。


【理由】国家賠償法第一条は公務員が主観的に権限行使の意思をもつてする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもつてする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによつて、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもつて、その立法の趣旨とするものと解すべきである。

(エ)最高裁判例「損害賠償」(民集第43巻10号1169頁)

【裁判要旨】宅地建物取引業者に対する知事の免許の付与ないし更新が宅地建物取引業法所定の免許基準に適合しない場合であつても、知事の右行為は、右業者の不正な行為により損害を被つた取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たるものではない。


【理由】免許を付与した宅建業者の人格・資質等を一般的に保証し、ひいては当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接的な目的とするものとはにわかに解し難く、かかる損害の救済は一般の不法行為規範等に委ねられているというべきであるから、知事等による免許の付与ないし更新それ自体は、法所定の免許基準に適合しない場合であっても、当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たるものではないというべきである。


(オ)最高裁判例「損害賠償請求」(民集第29巻9号1417頁)

【理由】訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。

【2】(ア)、(イ)、(ウ)のいずれも間違っているので、正解は(2)となる。

 
  ■■■ 情報公開法  ■■■

【1】(1)職務上、(2)電磁的記録、(3)組織的、(4)官報、(5)新聞、(6)公文書館、(7)図書館(法第2条第2項、令第2条第1項、第3条第1項)

【2】正しいのは(ア)と(イ)であるので、正解は(5)となる。

(ア)○ 法8条(行政文書の存否に関する情報)

(イ)○ 法6条1項(部分開示)

(ウ)× 法13条3項(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)では、「行政機関の長は、前二項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該行政文書の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも二週間を置かなければならない」と規定されている。「第三者の意見に従って」開示するか否かの決定を行うわけではない。

 
 
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