【1】(3)
(ア)× 「商号単一の原則」は、営業を単位として認められる(商法上、明文の規定はない。)。したがって、個人商人が数個の営業を行う場合には、数個の商号が認められる。一方、会社は、法律上、常に1個の営業と認められるから、商号は1個に限られる。
(イ)× 「商人は、その商号の登記をすることができる」(商法11条2項)のであって、義務ではない。
(ウ)○ 「会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない」(会社法7条)。なお、「何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」(商法12条1項)。
(エ)○ 「自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う」(商法14条)。
☆ 現行商法14条は、改正前23条である。なお、名板貸人とは、「自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人」(新14条)をいう。
●● 最高裁判例「売掛代金請求」(民集第20巻1号111頁)
【裁判要旨】名板貸人は、自己を営業主と誤認するについて重大な過失があつた者に対しては、商法第二三条所定の責任を負わないと解するのが相当である。 |
【理由】商法二三条の名義貸与者の責任は、その者を営業者なりと誤認して取引をなした者に対するものであつて、たとえ誤認が取引をなした者の過失による場合であつても、名義貸与者はその責任を免れ得ないものというべく、ただ重大な過失は悪意と同様に取り扱うべきものであるから、誤認して取引をなした者に重大な過失があるときは、名義貸与者はその責任を免れるものと解するのを相当とする。
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●● 最高裁判例「損害賠償」(民集第49巻9号2972頁)
【裁判要旨】甲の経営するスーパーマーケットの店舗の外部には、甲の商標を表示した大きな看板が掲げられ、テナントである乙の店名は表示されておらず、乙の出店している屋上への階段の登り口に設置された屋上案内板や右階段の踊り場の壁には「ペットショップ」とだけ表示され、その営業主体が甲又は乙のいずれであるかが明らかにされていないなど判示の事実関係の下においては、乙の売場では、甲の売場と異なった販売方式が採られ、従業員の制服、レシート、包装紙等も甲とは異なったものが使用され、乙のテナント名を書いた看板がつり下げられており、右店舗内の数箇所に設けられた館内表示板にはテナント名も記載されていたなど判示の事情が存するとしても、一般の買物客が乙の経営するペットショップの営業主体は甲であると誤認するのもやむを得ないような外観が存在したというべきであって、右外観を作出し又はその作出に関与した甲は、商法二三条の類推適用により、買物客と乙との取引に関して名板貸人と同様の責任を負う。
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(オ)× 「営業を譲り受けた商人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。」(17条1項)。
【2】(2)
(ア)○ 「この編の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。」(9条1項)。
(イ)×
●● 最高裁判例「売掛代金請求」(民集第11巻3号395頁)
【裁判要旨】商法第四二条により表見支配人の権限に属する「営業ニ関スル行為」には、営業の目的たる行為の外、営業のため必要な行為をも含むと解すべきであつて、営業のため必要な行為にあたるか否かは、当該行為につき、その行為の性質の外、取引の数量をも勘案し、その営業のため必要か否かを客観的に観察してこれを決すべきである。
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(ウ)○
●● 最高裁判例「根抵当権設定登記抹消請求」(民集第20巻4号752頁)
【裁判要旨】民法第一〇九条の代理権授与表示者が、代理行為の相手方の悪意または過失を主張・立証した場合には、同条所定の責任を免れることができる。
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(エ)×
(オ)× 「支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」(21条1項)。
【3】(4)
(1)○ 営業的商行為に該当する(502条2号)。
(2)○ 営業的商行為であり、この場合には、有償無償は問わない。
(3)○
(4)× 「銀行取引」(502条8号)は、営業として行われる場合には営業的商行為になるが、ここでの「銀行取引」とは、金融機関としての銀行が行う取引に限られるのではなく、金銭の媒介行為(不特定多数者から預金を受入れ、これを貸付けるような場合)をいうため、貸金業者が自己資金を貸付ける場合には、銀行取引に該当せず、営業的商行為にならない。したがって、質屋営業者の行為も銀行取引には該当しない。
(5)○ この場合には、付属的商行為になる。
●● 最高裁判例「貸金請求」(民集第9巻10号1484頁)
【裁判要旨】商人が雇主として締結する雇傭契約は、その営業のためにするものと推定すべきである。 |
【理由】商人の行為は一般にその営業のためにするものと推定され、この点について何ら反証のあげられていない本件においては、商人たる上告人がその営業のためにする行為は商行為となる。
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〔参考〕
●● 最高裁判例「損害賠償請求」(民集第12巻10号1575頁)
【裁判要旨】特定の営業を開始する目的で準備行為をしたときは、商人が営業のためにする行為をしたものと解すべきである。 |
【理由】特定の営業を開始する目的で、その準備行為をなした者は、その行為により営業を開始する意思を実現したものでこれにより商人たる資格を取得すべく、その準備行為もまた商人がその営業のためにする行為として商行為となるものとした判断は、正当である。
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【4】(4)
(1)○ 「商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす」(525条)。
(2)○ 「商人である対話者の間において契約の申込みを受けた者が直ちに承諾をしなかったときは、その申込みは、その効力を失う」(507条)。
(3)○ 「商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しない」(506条)。
(4)× 「商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない」(509条1項)。そして、「商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす」(同2項)。
(5)○ 「商人がその営業の範囲内において他人のために金銭の立替えをしたときは、その立替えの日以後の法定利息を請求することができる」(513条2項)。