〔解答〕新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’ 06-53 まとめ(その3)
 

おかげさまで第53号を発行することができました。内容はいかがだったでしょうか。ぜひ、ご意見や感想等をe-mail@ohta-shoshi.comまでお寄せください。
 

 目次

■■■ 地方自治法
■■■ 会社法

 
 
  ■■■ 地方自治法  ■■■

【1】(1)法律、(2)都道府県、(3)特別区、(4)国、(5)法律、(6)第一号法定受託事務、(7)都道府県、(8)法律、(9)第二号法定受託事務(第2条第9項)
★ 自治事務と法定受託事務の関係(その1)

自治事務
法定受託事務
都市計画の決定、農業振興地域の指定、飲食店営業の許可、病院・薬局の開設許可 国政選挙、旅券の交付、国の指定統計、国道の管理
条例制定 普通地方公共団体は、法令に違反しない限り、地域における事務等に関し、条例を制定することができる(14条1項)。
法令に反しない限り可 ただし、法律・政令の明示的な委任が必要。
議会 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務に関する書類及び計算書を検閲し、当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、地方労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員の報告を請求して、当該事務の管理、議決の執行及び出納を検査することができる(98条1項)。
地方労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除く。 国の安全、個人の秘密に係るもの並びに地方労働委員会及び収用委員会の権限に属するものを除く。
監査委員 監査委員は、必要があると認めるときは、普通地方公共団体の事務の執行について監査をすることができる(199条2項)。
地方労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除く。 国の安全、個人の秘密に係るもの並びに地方労働委員会及び収用委員会の権限に属するものを除く。

★ 自治事務と法定受託事務の関係(その2)

自治事務
法定受託事務
行政不服審査法 原則として国、都道府県等への審査請求はできない。 他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、法定受託事務に係る処分又は不作為に不服のある者は、行政不服審査法による審査請求をすることができる(255条の2)。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
・都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分又は不作為:所管大臣
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
・市町村長その他の市町村の執行機関の処分又は不作為:都道府県知事
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
・市町村教育委員会の処分又は不作為:都道府県教育委員会
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
・市町村選挙管理委員会の処分又は不作為:都道府県選挙管理委員会
是正の要求等の特則(252条の17の4) 都道府県知事は、市町村が処理することとされた事務のうち自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、各大臣の指示がない場合であつても、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる(1項)。 市町村が処理することとされた事務のうち法定受託事務に係る市町村長の処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、当該処分に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣に対して再審査請求をすることができる(3項)。
代執行 不可 一定の手続を経た上で可(245条の8)


★ 法定受託事務に係る処分については、異議申立てを認める特別の規定はない(審査請求のみできる。)。一方、不作為についての不服申立てについては、審査請求と異議申立てが認められている(行政不服審査法7条)。
★ 法定受託事務に係る市町村長の処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、当該処分に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣に対して再審査請求をすることができる(252条の17の4第3項)。

【2】国と地方公共団体との間の係争処理の仕組み

(1)国の関与、(2)総務省、(3)国地方係争処理委員会(250条の7)、(4)審査(250条の13第1項)、(5)勧告(250条の14第1項、第2項)、(6)調停案(250条の19第1項)、(7)高等裁判所(251条の5第1項)、(8)3、(9)総務大臣、(10)都道府県知事(251条第2項)
★ 審査の申出の対象になるのは、国の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの(250条の13第1項)、不作為(国の行政庁が、申請等が行われた場合において、相当の期間内に何らかの国の関与のうち許可その他の処分その他公権力の行使に当たるものをすべきにかかわらず、これをしないこと)(同第2項)、および協議(同第3項)の3類型がある。
★ 国地方係争処理委員会の審査の流れ

★ 国地方係争処理委員会と自治紛争処理委員の関係(その1)

国地方係争処理委員会
自治紛争処理委員
審査及び勧告 (ア)自治事務(250条の14第1項)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
国の行政庁の行つた関与が違法でなく、かつ、普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当でないと認めるときは、その旨を当該普通地方公共団体の長等及び当該国の行政庁に通知しなければならない。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
国の行政庁の行つた関与が違法又は普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当であると認めるときは、当該国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告しなければならない。
(ア)自治事務(251条の3)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - -
都道府県の行政庁の行つた関与が違法でなく、かつ、普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当でないと認めるときは、その旨を当該市町村長等及び当該都道府県の行政庁に通知しなければならない。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - -
都道府県の行政庁の行つた関与が違法又は普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当であると認めるときは、当該都道府県の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告しなければならない。
(イ)法定受託事務(250条の14第2項)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
相手方である国の行政庁の行つた関与が違法でないと認めるときは、その旨を当該普通地方公共団体の長等及び当該国の行政庁に通知しなければならない。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
国の行政庁の行つた関与が違法であると認めるときは、当該国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告しなければならない。
(イ)法定受託事務(251条の3)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - -
相手方である都道府県の行政庁の行つた関与が違法でないと認めるときは、その旨を当該市町村長等及び当該都道府県の行政庁に通知しなければならない。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - -
都道府県の行政庁の行つた関与が違法であると認めるときは、当該都道府県の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告しなければならない。
これらの審査及び勧告は、審査の申出があつた日から90日以内に行わなければならない(250条の14第5項)。 これらの審査及び勧告は、審査の申出があつた日から90日以内に行わなければならない(251条の3第5項)。

☆ 自治事務の場合には「違法」かつ(または)「不当」であり、法定受託事務の場合には「違法」のみである。
☆ 90日以内と迅速に審査を行うため、執行停止の申立ての制度はない。審査の申出は、国の関与の効力には影響を及ぼさない。

★ 国地方係争処理委員会と自治紛争処理委員の関係(その2)

国地方係争処理委員会
自治紛争処理委員
調停 委員会は、国の関与に関する審査の申出があつた場合において、相当であると認めるときは、職権により、調停案を作成して、これを当該国の関与に関する審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び相手方である国の行政庁に示し、その受諾を勧告できる(250条1項)。 都道府県又は都道府県の機関が当事者となるものにあつては総務大臣、その他のものにあつては都道府県知事は、当事者の文書による申請に基づき又は職権により、紛争の解決のため、自治紛争処理委員を任命し、その調停に付することができる(251条の2第1項)。また、自治紛争処理委員は、調停案を作成して、これを当事者に示し、その受諾を勧告することができる(251条の2第3項)。
調停は、調停案を示された普通地方公共団体の長その他の執行機関及び国の行政庁から、これを受諾した旨を記載した文書が委員会に提出されたときに成立するものとする(同2項)。 調停は、当事者のすべてから、調停案を受諾した旨を記載した文書が総務大臣又は都道府県知事に提出されたときに成立するものとする。自治紛争処理委員は、調停による解決の見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる(251条の2第5項、第7項)。

★ 国地方係争処理委員会と自治紛争処理委員の関係(その3)

国地方係争処理委員会
自治紛争処理委員
設置 総務省に置く(第250条の7第1項)。 (常設の機関ではない。)
権限 国の関与に関する審査(同第2項) 都道府県の関与に関する審査等(第251条第1項)
人数 5人(第250条の8第1項) 3人(同第2項)
委員 優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命する(第250条の9第1項)。 優れた識見を有する者のうちから、総務大臣又は都道府県知事が任命する(同第2項)。
委員のうち3人以上が同一の政党その他の政治団体に属することとなつてはならない(同第2項)。 委員のうち2人以上が同一の政党その他の政治団体に属することとなつてはならない(同第5項)。
任期は3年(同第5項) 事件ごとに任命される(同第2項)。

【3】関与

(1)助言、(2)勧告(245条の4第1項)、(3)法定受託事務、(4)指示(245条の7第2項第1号)、(5)代執行(245条の8第12項)


【4】条例と規則

(ア)(1)法令、(2)条例(14条1項)、(3)規則(15条1項)
★ 細かいことであるが、憲法では「法律の範囲内」、地方自治法では「法令に違反しない限り」と規定されている。

(イ)(4)条例(14条2項)

(ウ)(5)条例、(6)過料(14条3項)、(7)規則、(8)過料(15条2項)
★ 地方公共団体は、条例で、刑法の定める刑のうち、死刑以外のすべての刑(主刑としての懲役、禁錮、罰金、拘留、科料および付加刑としての没収)(刑法9条)を科すことができる。また、地方公共団体および普通地方公共団体の長は、それぞれ条例および規則で、いずれも5万円以下の過料を科すことができる。

(エ)(9)委員会、(10)法令、(11)条例、(12)規則、(13)規程(138条の4第2項)
★ 長の規則の場合には「法令に違反しない限りにおいて」制定できるが、委員会の規程の場合には「法令、条例、規則に違反しない限りにおいて」制定できる。したがって、長の規則が、委員会の規程に優先する。

【5】法律と条例の関係

(ア)(1)条例、(2)法令

(イ)(3)法令、(4)違法
★ 上乗せ条例に類似した条例としては、裾切り条例(法令では一定基準以下の場合には、規制の対象外となっているのに対して、この基準以下の部分(これを裾切りといいます。)を条例で規制する場合)(後掲最高裁判例【6】の事件)、上積み条例(法令で規制が加えられていない項目について、給付を上積みする場合)等がある。

【6】最高裁判例(工作物除却命令無効確認事件、民集第32巻9号1723頁)

【要旨】いわゆる普通河川の管理について定める普通地方の【(1)条例】において、河川法がいわゆる適用河川又は準用河川について定めるところ以上に強力な河川管理の定めをすることは、同法に【(2)違反】し、許されない。

★ 本件は、高知市が、河川法の規制対象外である普通河川の管理条例を制定した事件である。河川法は、普通河川については、適用河川又は準用河川に対する管理以上に強力な河川管理は施さない趣旨であると解されるから、普通地方公共団体が条例をもつて普通河川の管理に関する定めをするについても、河川法が適用河川等について定めるところ以上に強力な河川管理の定めをすることは、同法に違反し、許されないと判示された。

【7】最高裁判例(徳島市公安条例事件、刑集第29巻8号489頁)

【説明】(ア)地方自治法一四条一項は、【(1)普通地方公共団体】は法令に違反しない限りにおいて同法二条二項の事務に関し条例を制定することができる、と規定しているから、当該条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、【(2)目的】、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによってこれを決しなければならない。

(イ)ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうる。逆に、特定事項についてこれを規律する【(3)法令】と【(4)条例】とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一の目的に出たものであつても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない。

★ 法令と条例の目的が異なる場合には、条例による規制は法令に違反しないことになる。

【8】4

(ア)× 特別区は、特別地方公共団体であり、普通地方公共団体ではない(地方自治法1条の3第2項)。

(イ)× 「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」(憲法93条1項)とされ、これを受けて、地方自治法では「町村は、条例で、(地方自治法)第89条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる」(94条)と規定されている。

(ウ)○

【9】5

●● 最高裁判例「教育施設負担金返還」(民集第47巻2号574頁)

【裁判要旨】市がマンションを建築しようとする事業主に対して指導要綱に基づき教育施設負担金の寄付を求めた場合において、右指導要綱が、これに従わない事業主には水道の給水を拒否するなどの制裁措置を背景として義務を課することを内容とするものであつて、右行為が行われた当時、これに従うことのできない事業主は事実上建築等を断念せざるを得なくなつており、現に指導要綱に従わない事業主が建築したマンションについて水道の給水等を拒否していたなど判示の事実関係の下においては、右行為は、行政指導の限度を超え、違法な公権力の行使に当たる。


【理由】武蔵野市宅地開発等に関する指導要綱制定に至る背景、制定の手続、被上告人が当面していた問題等を考慮すると、行政指導として教育施設の充実に充てるために事業主に対して寄付金の納付を求めること自体は、強制にわたるなど事業主の任意性を損うことがない限り、違法ということはできない。

しかし、指導要綱は、法令の根拠に基づくものではなく、被上告人において、事業主に対する行政指導を行うための内部基準であるにもかかわらず、水道の給水契約の締結の拒否等の制裁措置を背景として、事業主に一定の義務を課するようなものとなっており、また、これを遵守させるため、一定の手続が設けられている。そして、教育施設負担金についても、その金額は選択の余地のないほど具体的に定められており、事業主の義務の一部として寄付金を割り当て、その納付を命ずるような文言となっているから、右負担金が事業主の任意の寄付金の趣旨で規定されていると認めるのは困難である。しかも、事業主が指導要綱に基づく行政指導に従わなかった場合に採ることがあるとされる給水契約の締結の拒否という制裁措置は、水道法上許されないものである。

指導要綱に基づく行政指導が、武蔵野市民の生活環境をいわゆる乱開発から守ることを目的とするものであり、多くの武蔵野市民の支持を受けていたことなどを考慮しても、右行為は、本来任意に寄付金の納付を求めるべき行政指導の限度を超えるものであり、違法な公権力の行使であるといわざるを得ない。

●● 最高裁判例「損害賠償」(民集第35巻5号930頁)

【判示事項】違法建築物についての給水装置新設工事申込の受理の事実上の拒絶につき市が不法行為法上の損害賠償責任を負わないとされた事例


【裁判要旨】市の水道局給水課長が給水装置新設工事申込に対し当該建物が建築基準法に違反することを指摘して、その受理を事実上拒絶し申込書をその申込者に返戻した場合であつても、それが、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、同法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎず、他方、右申込者はその後一年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたなど、判示の事実関係の下においては、市は、右申込者に対し右工事申込の受理の拒否を理由とする不法行為法上の損害賠償の責任を負うものではない。

 
  ■■■ 会社法 ■■■

【1】(3)

(ア)× 「商号単一の原則」は、営業を単位として認められる(商法上、明文の規定はない。)。したがって、個人商人が数個の営業を行う場合には、数個の商号が認められる。一方、会社は、法律上、常に1個の営業と認められるから、商号は1個に限られる。

(イ)× 「商人は、その商号の登記をすることができる」(商法11条2項)のであって、義務ではない。

(ウ)○ 「会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない」(会社法7条)。なお、「何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」(商法12条1項)。

(エ)○ 「自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う」(商法14条)。

☆ 現行商法14条は、改正前23条である。なお、名板貸人とは、「自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人」(新14条)をいう。

●● 最高裁判例「売掛代金請求」(民集第20巻1号111頁)

【裁判要旨】名板貸人は、自己を営業主と誤認するについて重大な過失があつた者に対しては、商法第二三条所定の責任を負わないと解するのが相当である。


【理由】商法二三条の名義貸与者の責任は、その者を営業者なりと誤認して取引をなした者に対するものであつて、たとえ誤認が取引をなした者の過失による場合であつても、名義貸与者はその責任を免れ得ないものというべく、ただ重大な過失は悪意と同様に取り扱うべきものであるから、誤認して取引をなした者に重大な過失があるときは、名義貸与者はその責任を免れるものと解するのを相当とする。

●● 最高裁判例「損害賠償」(民集第49巻9号2972頁)

【裁判要旨】甲の経営するスーパーマーケットの店舗の外部には、甲の商標を表示した大きな看板が掲げられ、テナントである乙の店名は表示されておらず、乙の出店している屋上への階段の登り口に設置された屋上案内板や右階段の踊り場の壁には「ペットショップ」とだけ表示され、その営業主体が甲又は乙のいずれであるかが明らかにされていないなど判示の事実関係の下においては、乙の売場では、甲の売場と異なった販売方式が採られ、従業員の制服、レシート、包装紙等も甲とは異なったものが使用され、乙のテナント名を書いた看板がつり下げられており、右店舗内の数箇所に設けられた館内表示板にはテナント名も記載されていたなど判示の事情が存するとしても、一般の買物客が乙の経営するペットショップの営業主体は甲であると誤認するのもやむを得ないような外観が存在したというべきであって、右外観を作出し又はその作出に関与した甲は、商法二三条の類推適用により、買物客と乙との取引に関して名板貸人と同様の責任を負う。

(オ)× 「営業を譲り受けた商人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。」(17条1項)。

【2】(2)

(ア)○ 「この編の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。」(9条1項)。

(イ)× 

●● 最高裁判例「売掛代金請求」(民集第11巻3号395頁)

【裁判要旨】商法第四二条により表見支配人の権限に属する「営業ニ関スル行為」には、営業の目的たる行為の外、営業のため必要な行為をも含むと解すべきであつて、営業のため必要な行為にあたるか否かは、当該行為につき、その行為の性質の外、取引の数量をも勘案し、その営業のため必要か否かを客観的に観察してこれを決すべきである。

(ウ)○

●● 最高裁判例「根抵当権設定登記抹消請求」(民集第20巻4号752頁)

【裁判要旨】民法第一〇九条の代理権授与表示者が、代理行為の相手方の悪意または過失を主張・立証した場合には、同条所定の責任を免れることができる。

(エ)× 

(オ)× 「支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」(21条1項)。

【3】(4)

(1)○ 営業的商行為に該当する(502条2号)。

(2)○ 営業的商行為であり、この場合には、有償無償は問わない。

(3)○

(4)× 「銀行取引」(502条8号)は、営業として行われる場合には営業的商行為になるが、ここでの「銀行取引」とは、金融機関としての銀行が行う取引に限られるのではなく、金銭の媒介行為(不特定多数者から預金を受入れ、これを貸付けるような場合)をいうため、貸金業者が自己資金を貸付ける場合には、銀行取引に該当せず、営業的商行為にならない。したがって、質屋営業者の行為も銀行取引には該当しない。

(5)○ この場合には、付属的商行為になる。

●● 最高裁判例「貸金請求」(民集第9巻10号1484頁)

【裁判要旨】商人が雇主として締結する雇傭契約は、その営業のためにするものと推定すべきである。


【理由】商人の行為は一般にその営業のためにするものと推定され、この点について何ら反証のあげられていない本件においては、商人たる上告人がその営業のためにする行為は商行為となる。

〔参考〕

●● 最高裁判例「損害賠償請求」(民集第12巻10号1575頁)

【裁判要旨】特定の営業を開始する目的で準備行為をしたときは、商人が営業のためにする行為をしたものと解すべきである。


【理由】特定の営業を開始する目的で、その準備行為をなした者は、その行為により営業を開始する意思を実現したものでこれにより商人たる資格を取得すべく、その準備行為もまた商人がその営業のためにする行為として商行為となるものとした判断は、正当である。

 

【4】(4)

(1)○ 「商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす」(525条)。

(2)○ 「商人である対話者の間において契約の申込みを受けた者が直ちに承諾をしなかったときは、その申込みは、その効力を失う」(507条)。

(3)○ 「商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しない」(506条)。

(4)× 「商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない」(509条1項)。そして、「商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす」(同2項)。

(5)○ 「商人がその営業の範囲内において他人のために金銭の立替えをしたときは、その立替えの日以後の法定利息を請求することができる」(513条2項)。

 
 
 ■■■ お願い ■■■
継続して発行するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、アドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等についても、どうぞ何なりとお願いします。
質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多少時間を要する場合があります。

バックナンバーをご希望の方は、その旨をお知らせください。折り返しお送りします。
 

事務所案内
ご照会・質問
 事務所案内
 
 行政書士 太田誠
  〒183-0026  東京都府中市南町1丁目6番71号
 Tel&Fax: 042-405-3324
 EMAIL: e-mail@ohta-shoshi.com
 URL: http://www.ohta-shoshi.com
 東京都行政書士会所属(府中支部)
 登録番号: 04080402
 ご照会・質問
 
 ご照会・質問はこちらから ご照会・質問
 
ホーム